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ソラタネについて

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各県から集まった緊急車両や機動隊の待機場所となった熊本県民総合運動公園メイン駐車場。最大で2,000台もの車両が集まった。

県民の健康的な暮らしを支えるスポーツ施設は、
地震を経て変化を遂げようとしている。

避難所や災害対策の拠点として機能する

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公園内では、ジョギング用走路の
石垣が崩落した箇所も。

阿蘇くまもと空港の西側に位置する『熊本県民総合運動公園』。J2・ロアッソ熊本のホームスタジアムである『えがお健康スタジアム』をはじめ、広大な敷地に各種スポーツを楽しめる施設が整備された様子は、熊本空港を発着する機内からも見ることができる。アスリートたちにとって大切な舞台であり、多くの熊本県民にとって憩いの場となっているこの公園も、2016年4月の熊本地震で大きな被害を受けた。
「前震発生時は1人で事務所に残って仕事をしていました。『施設がめちゃくちゃになってしまったのではないか』という不安もよぎりました」。そう話すのは、同施設を管理する(一財)熊本県スポーツ振興事業団のスポーツ振興課長・浜田伸一郎さん。隣接する屋内運動場『パークドーム熊本』に残っていた職員や、巡回のために待機していた警備会社のスタッフらと、ただちに見回りを行ったが、すでに近隣住民たちは、公園内の広い駐車場に避難し始めていたという。
スタジアムではゲート付近の地面が陥没し、コンクリート壁やコンコース天井板の落下、トイレのひび割れと、いくつもの損傷が確認され、公園内通路でも石垣の崩落などが見つかった。
一方、メイン駐車場は、各県から集まった警察の機動隊や緊急車両の待機場所に、またスタジアムは支援物資の集積拠点や益城町の住民の避難所となり、運動公園内の各施設は利用休止の判断を余儀なくされた。

創造的な復興の構えでより良い施設へと変貌

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左から、熊本県スポーツ振興事業団の浜田
伸一郎さん、熊本県教育庁体育保健課の長
谷川竜一さん、熊本県スポーツ振興事業団
の小山賢太郎さん。地震発生直後から連絡
を密に取り、被害状況の確認や利用再開に
向けて奔走した。

その後、施設のスタッフや熊本県職員は、利用再開に向けた安全確認や復旧・改修工事のための費用見積もりなどに注力する。専門家による調査を終え、5月初旬から部分的に施設の供用を再開。スタジアムについては、立ち入り禁止区域を設けた限定的なものであったが、7月3日に行われたロアッソ熊本の公式戦から利用が再開され、9000人を超える観客が集まり、日常を取り戻す第一歩を踏み出した。
「単なるスポーツ施設ではなく、都市公園としての機能も有していたことで、避難場所として活用してもらえたのだと思います」と、前述の浜田さん。同事業団施設管理課の小山賢太郎さんも、「復旧後、利用者の方からは『ジョギングなど運動ができるようになったことで日常を取り戻せた』という声もいただきました」と当時を振り返る。
2019年に日本で開催されるラグビーW杯では、『えがお健康スタジアム』が国内開催地の一つとなっており、照明設備や座席、トイレの改修などが行われる予定だ。
「公共のスポーツ施設が、有事の際には避難所や物資の集積拠点になりうることを再認識しました。ラグビーW杯の開催地として改修を行いますが、蒲島郁夫知事が“創造的な復興”を目指しており、そのような意味においても、施設がグレードアップできたらと考えています」と、熊本県教育庁体育保健課の長谷川竜一総務係長。
熊本県のスポーツの中核施設として、そして県民生活にゆったりとした安らぎや活力を与える場として、新たに生まれ変わる。

2017年11月1日時点の情報です

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