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ソラタネについて

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鉄の工作物を金や銀で装飾する工芸『肥後象がん』。象がんの発祥は、シリアのダマスカスにあるという。シルクロードを経て、我が国に伝わったその技術が、日本特有の雅な美となり、現代へと受け継がれている。

刀の装飾から装身具へ
時を超えて進化を続ける

もはや鉄でできていることを忘れてしまう、美しく繊細な金の模様。"象"は「かたどる」、"がん"は「はめる」という意味をもつ『象がん』には、金工象がん、木工象がんなどの種類がある。金工象がんのなかでも、鉄地の表面に細かい刻みを入れて、その溝に金や銀を打ち込む『布目象がん』の技術が施されるのが『肥後象がん』だ。約400年前に、肥後藩主細川家に仕えていた鉄砲鍛冶が、刀の鐔(つば)や銃身に象がんを施したことが始まりといわれている。明治期に入り廃刀令が出されてからは、パイプや帯留め、髪飾りなどに象がんが施され、今は、ペンダントやネックレスなどアクセサリーとして好まれている。
肥後象がんに欠かせないのが"布目を切る"という技術だ。1㎜の間に何本もの細かな線を手切りすることで、繊細な模様が生まれる。肉眼では見えないほどの刻みを入れるには、熟練の技術が欠かせない。この道60年、伝統工芸士の坊田(ぼうだ) 透さんは美しい作品の数々を世に送り出す。「布目を切る際は、目だけではなく耳も使います。音を聞けば布目の入り具合がわかるんですよ」と坊田さん。自身もそうしてきたように、弟子には金属を刻む音を聞かせ、体で覚えてもらう。職人たちが五感を研ぎ澄ませて挑むからこそ、上品で奥ゆかしい美にあふれているのだ。

坊田 透(雅号:永芳(えいほう))

1937年京都府宇治市生まれ。1955年に京都駒井象がん継承者川人芳男氏に入門、1962年に肥後象がん作家永代正一氏に師事。1980年には人間国宝増田三男氏に師事した。肥後象がんは黒い生地が多いが、坊田さんの作品は独自の製法により生み出した赤や緑の仕上げが特徴。

  • 熊本市中央区帯山8-5-64

  • 096-381-1253
  • 作品取り扱い


    熊本県伝統工芸館(下記を参照)、
    伝統工芸青山スクエア(東京都港区赤坂8-1-22 1F)

肥後象がん取り扱いスポット

きのアート工房

肥後象がん師であり彫金作家の、きのしたようこさんの工房。400年前の伝統を現代に蘇らせ、「身につける人を楽しくさせる」作品を販売。

  • 熊本市東区錦ヶ丘15-15

  • 096-369-2815
  • 11:00~19:00

  • 日、月、火

  • 3台(無料)

肥後象嵌 光助(みつすけ)

1874年(明治7年)創業。皇室への献上品や県や市の贈答品などを委嘱されている。職人が指導する肥後象がんのストラップ作り体験が人気。

  • 熊本市中央区新町3-2-1

  • 096-324-4488
  • 9:00~17:00、土日祝10:00~16:00

  • なし(年末年始、盆は休み)

  • あり(無料)

陶季(とうき)

「手仕事の温もりあふれる、使い勝手の良い器」がコンセプトのギャラリー&ショップ。肥後象がん作家・伊藤恵美子さんの作品を取り扱う。

  • 熊本市中央区黒髪3-11-2

  • 096-346-0052
  • 10:00~18:00

  • なし

熊本県伝統工芸館

肥後象がんをはじめ、木工品や焼き物など熊本県の指定を受けた約90品目の伝統工芸品を展示。館内ショップとWEBで作品の購入も可。

  • 熊本市中央区千葉城町3-35

  • 096-324-4930
  • 9:00~17:00

  • 月(祝日の場合翌日)

  • ¥

    無料(2Fは一部有料)

  • 20台(無料)

2018年5月1日時点の情報です

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