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ソラタネについて

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江戸時代、薩摩武士の内職として製作が始まった『薩摩つげ櫛』。指宿(いぶすき)では女子が誕生するとツゲの木を植え、花嫁道具としてつげ櫛を持たせたといわれる。歴史と人々の思いが込められた一生涯の工芸品だ。

すくたびに髪が潤う大和撫子の必需品

シンプルな木目の色合いと、手になじむしなやかな曲線。つげ櫛は、ツゲの木から作られた櫛のことで、古来から日本女性に愛用されている伝統的な美容用品だ。ツゲの木はきめ細かく弾力があり、椿油を染み込ませて使うことで、髪をすくたびに自然な艶と潤いが生まれる。整髪料のない時代から、一生ものの道具として母から娘へと贈られていた。そのなかでも、鹿児島県生育の『薩摩つげ』を使った薩摩つげ櫛は昔から名品とされる。江戸時代に「櫛になりたや薩摩の櫛に諸国の娘の手に渡ろ(薩摩の櫛は日本中の女性の手に渡ってうらやましい)」と謳われ、全国にその名を轟かせた。
指宿市内で薩摩つげ櫛を代々作り続けるのは、『喜多つげ製作所』4代目の喜多忠男さん。5代目を継ぐ次男の正孝さんとともに日々製作に勤しむ。
作業の終盤、歯の1本1本まで丁寧にやすりがけする忠男さんの姿が印象的だ。「やすりの入れ方ひとつで髪の通りが左右されるので一番神経を使うところ。櫛は日用品なので、毎日心地よく使えることが第一です」。
つげ櫛の素晴らしさを知ってもらえるよう、黒髪や茶髪、パーマなど髪質が多様な現代人に合わせてヘアブラシも開発。地肌になじみ、髪に艶を出すつげ櫛は、使い続けることでその真価がわかる生きた工芸品なのだ。

喜多つげ製作所

代表を務める喜多忠男さんは、この道50年超の大ベテラン。2018年(平成30年)には鹿児島県知事表彰優秀技能者に認定された。工房のすぐ近くにあるショップでは、薩摩つげ櫛とつげブラシ各種を販売。月の半分は全国の催事や物産展を回り、各地で対面販売も行う。

  • 鹿児島県指宿市大牟礼1-16-4

  • 0993-24-2094

  • 9:00~17:00

  • 日、不定

  • 3台(無料)

薩摩つげ櫛取り扱いスポット

指宿白水館

砂むし温泉や江戸時代の雰囲気を味わえる『元禄風呂』、松の庭園が名物。売店では薩摩つげ櫛などの伝統工芸品や特産品を数多く販売。

  • 鹿児島県指宿市東方12126-12

  • 0993-22-3131

  • 7:00~22:00(売店)

  • なし

  • 200台(無料)

池田湖パラダイス

池田湖の湖畔にあるみやげ店併設の大型レストラン。工芸品コーナーでは『木原つげくし屋』『佐々木つげ工房』の薩摩つげ櫛を取り扱う。

  • 鹿児島県指宿市池田湖畔

  • 0993-26-2211

  • 8:30~17:00

  • なし

  • 50台(無料)

薩摩工芸館&薩摩ギャラリー(ドルフィンポート山形屋店)

薩摩つげ櫛をはじめとした鹿児島県内の工芸品のほか、多種多様なご当地グッズを取り扱う。

  • 鹿児島市本港新町5-4 ドルフィンポート1F

  • 099-221-5822

  • 10:00~19:00

  • なし

  • 750台(有料※30分以内無料)

鹿児島ブランドショップ

工芸品や特産品が約2,100品目そろい、郷土菓子やさつま揚げなどの食品も。特産品コンクールの受賞品といった話題の商品も充実。

  • 鹿児島市名山町9-1 県産業会館1F

  • 099-225-6120

  • 9:00~18:00

  • なし

  • 5台(無料)

2019年6月1日時点の情報です

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