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露天風呂『滝観庵』(写真は男湯)。湯はサラリとした肌ざわりの単純泉。

せっかくいにしえの湯を訪れたのだから、川湯だけで終わるのももったいない。このまま温泉巡りといこう。訪れたのは、『山荘天水』。木々のざわめきと木洩れ日が心地よい森の中に建つ、天ヶ瀬温泉でも屈指の人気を誇る宿だ。
駐車場に車を停め、フロントまでは少し歩く。豊かな自然をそのまま庭園に仕立て、道中には石畳や石門を配して幽玄の美を演出。さながら京都の名刹のようなたたずまいだ。そして館内に入ると、どんと鎮座した巨大な岩が目に飛び込んでくる。宿が建つ前からここにあった自然石で、そのまま利用したそうだ。
温泉は男女別の露天風呂や内風呂、家族風呂など計9つを備え、すべて源泉かけ流し。なかでも、特筆すべきは『滝観庵(たきみあん)』で、その名が示す通り、露天風呂が名瀑・桜滝を見下ろす高台にある。湯舟に浸かったまま滝を眺めることはできないが、風の音や小鳥のさえずりと溶け合う滝の音をBGMにした湯あみは趣深い。そのほか、宿のそばを流れる合楽(ごうらく)川を望む家族風呂も情緒たっぷり。大きな釜風呂が印象的な『かま湯』のほか、『きり湯』『ひのき湯』など5種類を、ホタルの舞いやカジカガエルの歌声、錦綾なす紅葉など、四季折々の魅力とともに堪能できる。館内にあるラウンジは日帰り客も利用可能で、湯上がりの余韻に浸りながらゆっくり寛ぐのに最適だ。

名瀑は美しく流れ、桜花のように散る

『滝観庵』で見下ろした『桜滝』が気になったので、湯上がりの散歩がてら、もっと近くで見ることにした。
『桜滝』は、『慈恩の滝』『観音の滝』とともに天瀬の三瀑のひとつとされる。落差約25m、幅約15m。滝が無数の細い筋となって流れ落ち、飛沫(しぶき)の散る様が桜の花のように見えることから名付けられたそうだ。200年ほど前に書かれた『豊後国志』でも「砕け散ること花の如く、流下することすだれの如し」と、その美しさが賞賛されている。
滝までは川沿いに遊歩道が整備されており、ほとんど勾配もなく楽にたどりつける。滝に近づくにつれて、あたりはひんやりとし、空気も澄んできた。すうーっと深呼吸。水と森の匂いが胸の中を洗ってくれる。桜の花に形容される滝の飛沫は、この時は日の光に照らされ、磨かれた玉(ぎょく)のように輝いていた。
磨く――。思えば、日田の名水も大地が磨いたもの。そして、この町の歴史も文化も郷土の味も、長い時間をかけ、練磨し受け継がれてきたもの。日田盆地という器の中には、輝く珠玉が散りばめられている。

SPOT(J)山荘天水

  • 大分県日田市天瀬町桜竹601

  • 0973-57-2424

  • 立寄り入浴10:00~17:00

  • なし

  • 立寄り入浴大人¥800

  • 30台(無料)

  • 大分空港より車で約90分

SPOT(K) 桜滝

2018年10月1日時点の情報です

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