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ソラタネについて

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オランダとの交易やキリスト教の布教と迫害、復活、この地を治めた松浦家の長い歴史など、
平戸の魅力は重層的でひと言では言い表せない。
『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』として世界文化遺産に登録された
『春日集落と安満岳』や『中江ノ島』もある。
奥深い平戸の魅力を紐解いてみる。

海を越えてきた信仰と 海を愛した松浦家と

平戸を紐解くキーワードのひとつは、キリスト教だ。フランシスコ・ザビエルは、平戸を3度も訪れている。
緩い坂道を登り切ると、澄んだ空に抱かれて『田平(たびら)天主堂』が見えた。1918年(大正7年)に建てられたレンガ造りの教会だ。関東大震災では多くのレンガ建築が倒壊したため、その後の建築は、全国的に鉄筋コンクリートが主流となったそう。その点でもレンガ造りの教会は見ておきたい。周囲は教会を装飾するように、垣根や門柱などがあり、美しい異空間となっている。
案内所の教会守へ挨拶をして、見学をする。設計施工は教会建築の名手といわれた、新上五島町(現在)出身の鉄川与助。神父から教会建築を学び、いくつもの教会を造ってきた鉄川は、色違いのレンガを組み合わせるなどして、いつしか建築をデザインの域まで高めていった。原野を開墾して建てられたこの教会でも、小口積みやイギリス積みなどの工法を組み合わせて、壁に文様を浮かび上がらせるなど独特の意匠を創り出している。鉄川の作品のなかで、最高傑作であり、集大成ともいわれる作品だ。
この教会は長崎で殉教した『日本二十六聖人』に捧げられている。内部の祭壇の上の二十六聖人を描いた3枚のステンドグラスや、26個の椿の花のモチーフにも注目したい。
平戸瀬戸の青い海との対比が美しい平戸大橋を渡る。しばらく行くと現れるのが『平戸城』だ。最初にここに城を築いたのは松浦(まつら)家26代当主の松浦鎮信(しげのぶ)。城の名を『日の岳城(ひのたけじょう)』といった。しかし、豊臣秀吉と親交が深かったことから、徳川家康に動向を疑われたため、自ら火をつけて焼き払ったという。のちに30代当主・松浦棟(たかし)が再築に着手し、1718年(享保3年)に完成。現在の平戸城は1962年(昭和37年)に復元されたものだ。
ここで松浦家について触れておこう。始まりは1069年(延久元年)、8代当主・松浦源久が京からやってきた頃にさかのぼる。鎌倉時代初期にこの地に落ち着き、当時は〝海の武士団”であった。室町時代にはより勢力を伸ばして、戦国大名となり、800年という長きにわたって平戸を治めた。
さて天守閣へ登り、景色を眺めよう。平戸港の紺碧の海と島の緑が美しい。下からはひんやりとした海風が吹き上げてくる。「松浦家はもともと松浦党(まつらとう)として海上交通を牛耳っていました。この天守閣から海を眺める時には“もし海で何かあれば、自分たちが”という気概のようなものをいつも持っていたでしょうね」とは施設長で学芸員の浦部知之さん。いつも海とともにあった松浦家。その一面を感じ取ることができる城だ。城内には平戸藩ゆかりの鎧や刀、かくれキリシタン関連の史料などが展示されている。

SPOT(A)田平天主堂

  • 長崎県平戸市田平町小手田免19

  • 095-823-7650(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター)

  • 9:00〜17:00
    (見学の場合は要事前連絡、ミサ時は見学不可)

  • なし

  • 拝観無料

  • 20台(無料)

  • 長崎空港より車で約1時間40分

SPOT(B)平戸城

  • 長崎県平戸市岩の上町1458

  • 0950-22-2201

  • 8:30〜17:30(最終入館17:00)

  • なし

  • 大人¥510、高校生¥300、小中学生¥200

  • 50台(無料)

  • 長崎空港より車で約1時間45分

2018年11月1日時点の情報です

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