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1400余年前に発見された『有馬温泉』は
日本三大古泉、日本三名泉のどちらにも名を連ねる名湯だ。
火山がないのに良質な温泉が湧く、世界的にも珍しい温泉。
現在も年間180万人が訪れるという、温泉町の秘密を探った。

古(いにしえ)から癒し続ける 600万年前の海の水

有馬の温泉は濃い。金泉(きんせん)と呼ばれる温泉は鉄分をたっぷり含み、塩分にいたっては海水の2倍の濃さはある。赤褐色の湯を初めて見た時は、昔話で親しんだ地獄の釜を思い出した。しかしこの地獄というポイントはあながち外れていないことが後にわかった。
火山列島の日本。火山があるところに名湯あり。では有馬温泉は?とあたりを探しても、有馬を含む近畿地方には見あたらない。火山がない場所なのに、なぜ温泉が湧くのか。近年、その謎が解き明かされた。それには太平洋から日本列島の下に沈み込むフィリピン海プレートが関係している。海底でフィリピン海プレートと、ユーラシアプレートがぶつかって沈み込む際に、海水を引き込む。その水分がマントルの熱で水蒸気となり、温泉となって地表に向かって噴き出しているのが有馬温泉。地表に出るまでに600万年以上、壮大なる旅をしている。
地中の鉄分や塩分をたっぷり含んだ水分は、地上で空気に触れることで酸化し、赤褐色になる。その色から金泉とついた湯は、公衆浴場『金の湯』の源泉掛け流しで堪能できる。金泉の泉源の代表が『天神泉源』。近づくと「ゴゴゴゴゴゴゴゴ」という地の底から這い上がるような音が響き、絶えず噴き出る湯気は、あたりを真白に包む。あふれた湯が流れ続けているのだろう、石造りの階段はこれが金泉だと言わんばかりに、赤茶に変色していた。
赤褐色の金泉の泉源は『天神泉源』から100m以内が中心。そのほかの泉源からは、主に炭酸泉やラジウム泉が噴出する。こちらは打って変わって無色透明の湯。金泉に対し、銀泉(ぎんせん)という。
炭酸泉といえば温泉街の坂の上に位置する『炭酸泉源』。かつては鳥や虫が飛んできてはパタリと死んでいたので、地獄とも毒水とも呼ばれていたという。明治の初期に正式に調査をしたところ、良質な炭酸泉であることがわかったそうだ。有馬までの道のりでおもしろい話を聞いた。かつて有馬温泉に遠足に行く子どもたちは、砂糖を持参し、炭酸泉に混ぜて自作のサイダーを飲んでいたそう。この炭酸泉を使って生まれたのが日本初のサイダー『有馬サイダー てっぽう水』で、小麦粉や砂糖に炭酸泉を混ぜて薄く焼いたのが『炭酸煎餅』。どちらも炭酸泉がなければ生まれなかった有馬名物だ。
銀泉の湯を楽しめるのは公衆浴場の『銀の湯』だ。『金の湯』が入った瞬間に緊張した筋肉を刺激するような、エネルギーに満ちた動の湯だとすれば、『銀の湯』はさらさらとした湯触りで、心が静かに安らぐような癒しの湯。両方の湯浴みをお得に楽しめる『2館券』もあるので利用したい。

SPOT(A)金の湯

  • 兵庫県神戸市北区有馬町833

  • 078-904-0680

  • 8:00~22:00(最終入館21:30)

  • 第2・4(火)(祝の場合は営業、翌日休館)、1/1(祝)

  • 大人¥650、小学生¥340、幼児無料

  • なし

  • 神戸電鉄有馬温泉駅より徒歩5分

SPOT(B)銀の湯

  • 兵庫県神戸市北区有馬町1039-1

  • 078-904-0256

  • 9:00~21:00(最終入館20:30)

  • 第1・3(火)(祝の場合は営業、翌日休館)、1/1(祝)

  • 大人¥550、小学生¥290、幼児無料

  • なし

  • 神戸電鉄有馬温泉駅より徒歩10分

2019年1月1日時点の情報です

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