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抜けるような青空と輝く海。
夏のイメージが強い宮崎県日南市だが、この町は冬だってオンシーズン。
この時期はプロ野球のキャンプ地として賑わい、
また柔らかな冬の日差しは城下町の風情をより際立たせる。
いざ、南国の冬旅へ。

穏やかな時間が流れる飫肥の城下町は、冬がよく似合う

南国・日南とはいえ、如月の風はまだまだ冷たい。だが、飫肥(おび)城下町に足を踏み入れると、ふっと心に火が灯るような感覚に包まれた。この城下町のもつ淑(しと)やかさはどこか温もりを帯びていて、妙に心が安らぐ。
飫肥は、戦国時代の末期から明治初期までの約280年にわたり、飫肥藩伊東氏5万1千石の城下町として栄えた町だ。往時の風情が色濃く残る町並みは、九州・沖縄で初となる重要伝統的建造物群保存地区に選定。辺りに漂うしっとりとした空気も冬の情緒と寄り添うようで深みがある。日南の旅は、冒頭から心を動かされた。
重厚な大手門と大きなクスの木に出迎えられ、『飫肥城跡』へ。飫肥城は南北朝時代、土持(つちもち)氏によって築城されたといわれ、戦国時代には伊東氏と島津氏が、長年にわたり覇権争いを繰り広げた城でもある。1588年(天正16年)には、豊臣秀吉による九州征伐で功のあった伊東祐兵(すけたけ)が入城。以後伊東氏14代がここを居城とした。
飫肥城内の楼閣は明治初期に取り壊されてしまったが、壮大な城郭の面影はしっかり残されている。1978年(昭和53年)には先述の大手門に加え、すべて飫肥杉でできた『松尾の丸』も再現。城内には『飫肥城歴史資料館』もあり、ここも見応えがある。
印象深かったのは、旧本丸跡だ。かつて藩主が御殿を構えた場所だが、現在は樹齢100年を超える飫肥杉が威容を競い合うように林立。辺りは深閑(しんかん)としてほの暗く、木漏れ日と木陰が苔むす大地に濃淡を描く。歴史情緒とともに自然への畏敬を抱かせる空間だった。
大手門前にある『豫章館(よしょうかん)』は、飫肥藩最後の藩主であった伊東祐帰(すけより)が城内から移り住んだ屋敷。邸内にあった大きなクスの木にちなみ、祐帰の父・祐相(すけとも)が『豫章館』と名付けたそうだ。飫肥城下町ではもっとも格式の高い武家屋敷で、屋敷の南側には見事な庭園が広がる。庭から景色を見やれば、空と大地に境界線を引くように伸びるなだらかな稜線が美しい。この景色に目を奪われるせいか、意外に知られていないのが、主屋の裏側から入る御数寄屋(おすきや)。コケと木々に包まれたアプローチを抜けた先に立つ御数寄屋は、侘びたしつらえが趣深い。すうっと深呼吸。冬の蒼穹(そうきゅう)を眺めながら、しばし緩やかな時の流れに身を任せた。

SPOT(A)飫肥(おび)城跡

  • 宮崎県日南市飫肥10-1

  • 0987-31-1134(日南市観光協会)

  • 9:00~17:00

  • なし

  • 無料
    ※松尾の丸 大人¥210、高大生¥150、小中学生¥100、
    由緒7施設共通券 大人¥620、高大生¥470、小中学生¥360

  • 160台(無料)

  • 宮崎空港より車で約60分

SPOT(B)飫肥城歴史資料館

  • 宮崎県日南市飫肥10-1(飫肥城跡敷地内)

  • 0987-25-5566

  • 9:30~17:00(最終受付16:30)

  • なし

  • 大人¥210、高大生¥150、小中学生¥100、
    由緒7施設共通券 大人¥620、高大生¥470、小中学生¥360

  • 飫肥城観光駐車場利用

  • 宮崎空港より車で約60分

SPOT(C)豫章館(よしょうかん)

  • 宮崎県日南市飫肥9-1-1

  • 0987-25-1905(小村記念館)

  • 9:30~17:00(最終受付16:30)

  • なし

  • 大人¥210、高大生¥150、小中学生¥100、
    由緒7施設共通券 大人¥620、高大生¥470、小中学生¥360

  • 飫肥城観光駐車場利用

  • 宮崎空港より車で約60分

2020年2月1日時点の情報です

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