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ソラタネについて

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『旬野菜のココット蒸し焼き』(¥1,100)。5種の小鉢に、ご飯、スープ、サラダ、ドリンクが付く。

一見、いや何度見ても閑静な住宅街に立つ一軒家。そろそろと近づき、軒下に置かれた控えめな立て看板を見つけてほっとした。店の名は『bonne(ボンヌ) café(カフェ)&pottery(ポタリー)』。いかにも隠れ家然としたたたずまいが、宝物を見つけたようでなんだかうれしい。
店内に入ると、そこは長居が確定する寛ぎに満ちていた。窓から差す柔らかな光、床材やテーブルに用いたアンティークパインの古材。よく見ると、室内灯のランプカバーは古びた漏斗(ろうと)だ。遊び心にふふっと笑みがこぼれる。
オーナーは、野菜ソムリエの資格をもつ山口芳恵さん。ランチは、自家製の塩麹や味噌麹で味わう『旬野菜のココット蒸し焼き』など2種類。オーガニックコーヒーやチョコレートのカカオ豆まで自家焙煎というこだわりだ。
料理に使う器も山口さんの自作。1階には工房を備え、陶芸教室も行っている。こんな器が欲しいと陶芸を始め、美味しいコーヒーが飲みたいと焙煎を学び、体に優しいものが食べたいとカフェを始めた山口さん。「やりたいことをやったら、今になりました」と笑うが、やりたいことを形にするのは容易ではない。穏やかな人柄に隠れた芯の強さが、この店の根っこに違いない。

続いては、今と昔を繋ぐ場所へ向かおう。大分市の南に位置する戸次(へつぎ)地区は、古くから交通の要衝であったエリア。今も通りには白壁の建物が立ち並び、その一角でひと際重厚な風格を見せるのが『帆足(ほあし)本家 富春館(ふしゅんかん)』である。
帆足家の興り(おこ)は、12世紀初めと伝わる。江戸時代には臼杵藩統治の下、大庄屋として戸次一帯を差配し、のちに酒造業で財を成した。一方で、帆足家は文人画家たちと盛んに交流していたそうで、大分県竹田市が生んだ南画の巨星・田能村竹田(たのむら ちくでん)は幾度となく帆足家を訪れ、竹田の友人であった儒学者・頼 山陽(らい さんよう)とも交流したという。ここは文化人たちが集うサロンであったのだ。
現在は、約2000坪の敷地内に貴重な酒造蔵をはじめ、ギャラリー、レストラン、デリ、菓子処などを展開。かつて先見の明をもって文人墨客たちを支えたように、才ある作家・芸術家たちの作品を展示・販売するほか、地域の特産品である『戸次ごぼう』や、伝統的な食文化である発酵に着目した食品などを販売、提供している。受け継ぐべきは建物という形だけでなく、先人たちの叡智や技術、文化である―。そんな思いとともに、ここは今でも文化が交流し、醸成されている。

SPOT(D)bonne café&pottery(ボンヌ カフェ ポタリー)

  • 大分市ひばりケ丘2-1-8

  • 097-529-5333

  • 11:30〜16:00(ランチLO14:00)

  • 日月火

  • 14席(禁煙)

  • 4台(無料)

  • 大分空港より車で約60分

SPOT(E)帆足(ほあし)本家 富春館(ふしゅんかん)

  • 大分市中戸次4381

  • 097-597-0002(代表)

  • 酒造蔵 9:00〜16:30、
    菓子処・食品販売 10:00〜17: 00、
    レストラン・ギャラリー 11:00〜17:00

  • 月火(祝の場合翌日)

  • 見学無料

  • レストラン30席(禁煙)

  • 30台(無料)

  • 大分空港より車で約60分

2020年4月1日時点の情報です

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